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「未知との遭遇」という1977年のスティーブン・スピルバーグによる映画をご覧になったことはあるだろうか。
あの映画のラストシーンで異星人との交信に使われた5音階からなるシグナルを発信し続けた楽器がMoogシンセサイザーである。 Moogシンセサイザーは1960年代にRobert Moogによって開発されたモノフォニック・アナログ・シンセサイザーである。 現在のデジタル・シンセサイザーなどと比較すると、Moogは技術的にも稚拙なシロモノのであったのかもしれない。だが、この楽器が70年代のSoul Musicの世界において恐るべき味わいを発揮し、数々の珠玉の名曲たちを織りなしたことから未だにこのMoogの「音」に魅せられるSoul Musicフリークは多い。 今回はMoogによって彩られた70年代Soul Musicにおける「珠玉」の名曲たちのほんの一部について紹介したいと思う。 Stevie Wonderの「Music Of My Mind(1972)」に収録されている「Superwoman」である。2部構成になっているこの曲の前半から後半へ移りゆく部分でStevie自身によるMoogの音が浮きあがってくる。後半部分以降のFuzzy FeitonのギターとStevieのMoogのコラボレーションは圧巻ともいえるスケール感を醸し出し、まさに「Stevie "World"」といえる世界観を見事に具現化している。 Isley Brothersの回でもふれたが、彼らの「Harvest For The World(1976)」に収録されている「Let Me Down Easy」もMoogなしでは考えられない名曲である。この曲でのChris JasperのMoogプレイは「奇跡」といえるほどに「Let Me Down Easy」という曲のもつ美しさを最大限にまで引き出している。「Let Me Down Easy」以外にも以前ご紹介した「For The Love Of You」や「Lover's Eve」、「The Highway Of My Life」でもChris JasperのMoogプレイは静かに冴え渡り、私にとっての「Moogプレイヤー」といえばこのChris Jasperの名前を1番に思い出す。 少し技術的な話になるが「オシレイター」を発振させることでMoogの「音色」はまた一風変わったものになる。そういったMoogプレイといえばMarvin Gayeの「I want You(1976)」に収録されている「After The Dance (Instrumental)」である。Marvin自身によるプレイによるもので、際限のない美しさと「屈折感」が滲み出している。先週、ご紹介したColeridge-Taylor Perkinsonによるオーケストレーションアレンジとあいまって、今にも崩れ落ちそうなMarvinの内省的な演奏が心に染み込んでくる。「After The Dance」のボーカルバージョンと別物として触れていただくことを強くお奨めしたい。 テクノロジーが発達した現代において、あえてMoogのようなモノフォニック・アナログ・シンセサイザーを使う必要はなくなった。 ただ1970年代のようなある意味「不自由」な時代にこそ、とりとめもなく美しい「音色」に彩られた確実に心に残るSoul Musicたちが多く生まれたのはまぎれもない事実である。 次回は、「Natalie Cole 『Love Letters』とToots Thielemansという老人」について紹介いたします。
by show-zono
| 2004-09-28 21:23
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Comments(12)
MOOGはいいですよね~。個人的にMOOGに限らずアナログシンセは大好きです。アナログシンセやフェンダーローズやホーナーのクラヴィネットなんかの、いわゆるヴィンテージ楽器はミュージシャンの間で未だに根強い人気があります。
いくら技術が発展しても、70年代特有のあの太くて温かい音って再現不可能なんですよね。ああ、ローズ欲しいなあ(笑)
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sarucof at 2004-09-29 18:40
「super woman」大好きな曲です。初めて聴いた時の衝撃は忘れられませんね。あの前半部分から後半部分に入っていく時のなんといったらいいのか、うーん、言葉になりません。「Music of My mind」では飛び抜けて好きですね。
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show-zono at 2004-09-29 21:34
Gingerさん、お待ちしておりました。
HohnerのClavinetやFender Rhodesも70年代Soul Musicを彩った名機ですね。現代のデジタル音源にはMoogと同様に標準装備されているようですが、かなり違うそうですよ。。テクノロジーでは克服できない何かがあるようです。。 Rhodes買ってください、めちゃめちゃ高いですが。Rhodesは個体差があるというシロモノですがメンテしながら使うというところが、またアナログでいいですよね。
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show-zono at 2004-09-29 21:42
サルコフさん、コメントありがとうございます。
「Super Woman」はStevieにとっての初のセルフプロデュースアルバムである「Music Of My Mind(1972)」のなかでも彼の「変化」を最も感じ取れる名曲だと思っています。それまでの彼の作品で使われることの無かったMoogがまさに「Stevie "World"」を演出していますね。
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mayu_october at 2004-09-30 09:50
当時のものが今でも音源であったりしますが、音の太さが違いますよね。
ヴィンテージものは高くて買えません・・・。 Rhodesも無茶苦茶欲しいですが、手が出ません。 学生時代所属していたサークルの部室に壊れたフェンダーローズがあって いつも恨めしい気分で眺めておりました。
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airplay
at 2004-09-30 12:29
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Pacharach
at 2004-09-30 13:23
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初めてStevie Wonderの「Superwoman」を聴いた時に、
「何~?この音は~?」と思ったのを覚えていますよ。 あの前半から後半に移っていくところですけど。 音楽に詳しい友人のおかげで、それがMoogだと知りました。 あれは。。。素晴らしいですよね~。 別の世界が広がっていくようでした。
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show-zono at 2004-09-30 22:40
mayu_octoberさん、コメントありがとうございます。
楽器についてお詳しいですね。 >部室に壊れたフェンダーローズがあって リペアできるんじゃないですかね。。ヴィンテイジ楽器のメンテを専門でやっている業者もありますよ。 TR-808、そして今回はMoogについて語りましたが、やはり今度はFender Rhodesでしょうか。
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show-zono at 2004-09-30 22:44
airplayさん、コメントありがとうございます。
Hammond Organもたしかにヴィンテイジですね。 不思議ですね。テクノロジーが中途半端な時代のほうが、美しい「音色」を奏で出すことができたというのは。
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show-zono at 2004-09-30 22:53
Pacharachさん、お久しぶりです。相変らず素敵なお名前です。
素晴らしい楽器があったとしても、良い使い手がいなければ結果的に意味の無いことなのでしょう。そういう意味では「Super Woman」におけるStevieによるMoogの演奏は本当に素晴らしく、Stevieの世界観の具現化に成功していますね。同様にご紹介しましたIsely Brothersや Marvinも本当にMoogをもってそれぞれの曲の美しさを最大限にまで引き出しています。 Moogも素晴らしい楽器ですが、それ以上に楽器の良さを最大限にまで引き出せるアーティストが多かったのかもしれませんね。
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sugar_pepper at 2004-10-01 16:24
Moogを使ったSoul Musicの中でも、とりわけ良い楽曲を挙げておられますね。流石。
おもしろいのは、使うArtistによって音の表情がガラッと変わることです。 Stevie Wonderでは柔らかな広がりを、Isley Brothersでは切ないほどの美しさを。 そしてMarvin Gayeにおいては危うい屈折感を。(あくまでも僕の感じる印象ですけど) でも、どの曲においてもその存在感はすごいものがあります。 個人的には、やはりChris JaperにMoog大賞ですね。 以前、「Soulを聴いて酔うという感覚はIsleyで実感した」と書いたことがありますが、 それはMoogの使い方によるところが大きいのかもしれません。 「MoogやFenderRhodesは、Soulをより深く美しくするための魔法の楽器」なのです。 魔法の使い手に敬意を表し、発明されたMoogさんやRhodesさんに感謝いたします。 心の芯を掴んで揺さぶられるようなSoul Musicが生まれたのは、 確かに今ほど「テクノロジー頼り」が出来なかった時代です。 利便性と精神の豊かさとは…相反するものなのでしょうか。 「テクノロジーでは克服できない何か」←小気味いいです。楽器ばかりは人力の方が上です。
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show-zono at 2004-10-01 22:59
sugar_pepperさん、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、StevieとIsleyとMarvinではベクトルが違いすぎて、どれが一番とはいい難いです。共通していえるのはそれぞれがMoogの特性を最大限に生かし、とてつもなく美しいSoul Musicを奏でていたということです。 ただし、「Moogプレイヤー」という意味ではやはりChris Jasperでしょうか。Isley BrothersのSlow Jamは彼のMoogなしでは考えられません。私が異星人だったらChris Jasperと交信したいですね。 >利便性と精神の豊かさとは…相反するものなのでしょうか。 残念ながらそうかもしれませんね。テクノロジーが発達していなかった時代のほうが「知恵」と「感性」に恵まれていたように感じます。
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