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先日、会社で仕事をしていると、とある女性社員が「今度はどんなひとを取り上げるんですかぁ?」と訊ねてきた。「ロバータフラックとかどうだろう・・」と答えると、その女性は「ああ、知ってます。コーヒーのひとですよね?」と答えた。
そうです。「コーヒーのひと」である。 こういう不幸な人がこれ以上増えないために、今回は予定を繰り上げてRoberta Flackについて紹介しようと思う。 この「Soul Musicを聴こう」では、もしかして初めてとりあげる女性のSoul アーティストかもしれない。冒頭でもふれたとおり、日本ではとあるインスタントコーヒーのCMで、Robertaの「Killing me softly with his song(1973)」が長い間、挿入歌で使われていた。この曲はこのCMに1976年から現在まで使われているらしい。1976年というと私が9歳のときだから、もしかすると私が初めてふれたSoul Musicだったのかもしれない。 Robertaの最大の魅力はその声の質にあると思う。女性Soulボーカリストによくある、ベタベタな歌いまわしや無意味なフェイクをするわけでもない。ある意味Soul離れをした、フォーキッシュで朴訥な唄い方をするが、なぜか聴くものの心に入り込んでは長く居候をするような声である。そこがDionnne WarwickやPatti LaBelleのように一般的にSoulの大御所といわれながら、私の耳を引き付けない人たちとは違うのだと思う。 「Chapter Two (1970)」というアルバムを以前、「1970年代のSoul Musicのアルバムジャケット文化」の回でご紹介したが、もしこのアルバムジャケットをご覧いただいて少しでも興味をもたれた方は是非、この中身にもふれてほしい。このアルバムにはRobertaの全てが凝縮されているといっても過言ではないと思う。特に5曲目の「Gone Away」ではRobertaのもつ真髄にふれることができる。当時のRobertaは、歌自体にこれといったテクニックもなく、いかんともしがたいほどに稚拙なのだが、聴いていると、若き日のRobertaが発散する息の詰まるような切なさと苦さようなものが切々と心に流れ込んでくる。歌はテクニックではないこということを嫌というほどに思い知らされるような曲である。 アルバム「Feel Like Makin' Love (1975)」では、5曲目のEugene McDanielsによる「Feel Like Makin' Love」の美しいメロディーをRobertaは独特のフィルターをもって濾過し、温かみのある歌声をもって伝えてくれる。7曲目の「Early Ev'ry Midnite」はRobertaの声とリリックが朝靄をイメージさせてくれる掛値なしに美しい曲である。 前述の「Killing me softly with his song」だけではなく、Roberta Flackにあまり馴染のないかたは是非これらの曲にふれて欲しい。Robertaの歌声で心に居候されるくらいならよいが、敷金と礼金を払われて住まわれることになると思う。 とかく、Donny HathawayやPeabo Brysonなどのアーティストとセットで紹介されることの多いRobertaであるが、敢えて今回はRoberta単体で紹介したいと思った。彼女はその「声」だけで充分に存在感のあるアーティストであると思うし、Peabo Brysonに至っては語るに値しないからだ。 いずれにしてもRoberta Flackは「コーヒーのだけのひと」ではないのである。 次回は「私の好きなSoul Bar」について紹介いたします。
by show-zono
| 2004-03-31 23:32
| Soul Music
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Comments(9)
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lisalisa9 at 2004-04-01 22:54
恥ずかしながら、私も上記の2曲くらいしか知りませんでした。
彼女のさらりとした歌声は実際にはもっと聞いているのかもしれませんね。 それから、今日はMarvin Gayeの20周忌だったんですね。二ュースで聞いたときにはとても驚いたのを覚えています。
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show-zono at 2004-04-01 23:03
lisalisa9さん、コメントありがとうございます。Roberta FlackならUKでもオンエアされるはずです。incognitoのBlueyあたりも少なからず影響を受けていますから。
ところでMarvin Gayeの20周忌・・知りませんでした。こんなブログを開設しておきながら・・失格ですね。
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sugar_pepper at 2004-04-02 17:34
ピカピカしてないんですよね、Robertaの声も歌い方も。
飾り気がなく包容力に溢れていて。だからこそ好きなんですが。 アーティスト単位では、好きと言える女性ソウルアーティストっていなかったんです。 「Chapter Two 」の「Gone Away」という曲を聴くまでは。 僕はRobertaの曲を古い年代から順を追って聴いたわけではないので、それまでは 「Roberta Flackはイイかもなぁ。」くらいだったんです。 でも、「Gone Away」を聴いてその失礼な考えは吹っ飛びました。 さすがに誰の共感も得られないと思いますが...僕は荒井由美を思い出してしまった。 伸びやかな瑞々しさ、純粋であるが故の激しさや切なさが心に染み込んでくるようで。 音楽を聴いて、静かな衝撃を受けることってあるじゃないですか? この時はまさしくそれでした。 活動期間は結構長いですが、やはり70年代のものの方が好きです。 彼女の声には80年代以降の音が...どうもしっくりこない...。 それにしても、「Killing me softly ~」って1976年から使われてるのですか。長っ。 確かにずっとこの曲だなぁとは思ってましたが。 変わったらちょっとサミシイかも。
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show-zono at 2004-04-02 23:14
「さすがに誰の共感も得られないと思いますが...僕は荒井由美を思い出してしまった。」・・とんでもない、実は私も同じ事を感じておりました。今回もそれについて本文のなかで触れようかとも考えたのですが、松任谷由実の凋落ぶりの激しさに、引き合いだすのをためらってやめてしまったのです。どうやら私達のアンテナは同じ志向性をもっているようです。とくに「ひこうき雲」、「ミスリム」あたりの鉛を心に流し込まれるような、静かだけれども尖った感性が、荒井由実と当時のRobertaは重なってしまうのです。おっしゃるとおり、80年代以降のRobertaに関しては、「パールピアス」的なのかもしれませんね。
「Gone Away」に関しては、ビートルズ的手法を用いていますが、歌だけではなく全体的なサウンドに関しても、決してウマイ演奏ではないにもかかわらず、当時関わったアーティストたちの純粋性が伝わってくる音なんですよね。
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yumi
at 2004-04-08 12:23
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「コーヒーのひと」っていうと、もう一人、大切な人忘れてやしませんか? 私にとって、「コーヒーのひと」っていったら、ダイアナ・ロス「マホガニーのテーマ」なんですよね。
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show-zono at 2004-04-08 13:36
なかなかやりますね、ガルボ担当のユミさん。
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yumi
at 2004-04-09 01:57
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どうもどうも。経理マネージャーさん。いつも楽しみに拝見しております。確か前に「ソウル=演歌」説をとなえておられましたが、私も同感です。で、私にとって、もっとも「演歌」なミュージシャンのひとりがダイアナ・ロス、だったものですから、つい。
今後取り上げていただきたいのは、ベリー・ゴーディと、なぜかビル・ウィザースです。
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satoru
at 2004-04-12 00:10
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僕は、やはり亡きデュエットパートナーであるダニーハザウェイへの追悼盤となった“ダニーに捧ぐ”が最高に好きです。特に4曲目の“DISGUISES(邦題:思わせぶり)”は、単調な旋律の繰り返しで、演奏時間も短い曲なのですが、本当に心に染み入ってきます。まさにロバータならではの名曲だと思います。何年か前のブルーノートでのライブのダブルアンコールで、独奏弾き語りで演奏してくれたました。
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show-zono at 2004-04-12 13:24
申し訳ありません。チェック不足です。私はまだ「ダニーに捧ぐ」は聴いておりません。satoruさんお奨めの「Disguises」是非聴いてみます。Blue Note東京で彼女がプレイしたのであれば、Roberta自身にとっても思い入れの深い曲なんでしょうね。
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