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Black Musicの世界はSoul Musicだけではない。JazzもBlack Musicのなかではとても大きなジャンルである。Soul Musicが黒でJazzが白だとするとカラーグラデーションの灰色の部分を私達はクロスオーバーと呼ぶ。
クロスオーバーの世界にはとにかく怪物が多い。今後、この「Soul Musicを聴こう」ではSoul Musicに多大な影響を与えたクロスオーバーのアーティストたちについても紹介していきたいと思う。 George Benson(ジョージ・ベンソンと読みますので念のため)。Jazzの世界ではとにかく有名なギタリストである。Jazz ギタリストだから当然のごとくギターは上手い。ところがこの人は歌も唄う。下手の横好きならまだしも、歌も恐ろしく上手い。しかも彼は独特のスキャットを唄う。歌物のプレイの間奏部分などでは、自分のギタープレイの旋律にあわせたユニゾンのスキャットを奏でる。これに技術的な解説を加えると、絶対音感とギタースケールダイアグラムの熟知のなせる業で、とにかくすごいことらしい。とにかくこういう怪物たちが土足で足を踏み入れるSoul Musicの世界は本当に面白い。 もともとジャズの老舗レーベルであるCTIレーベルに所属していたGeorge Bensonは当初はポストWes Montgomery路線を歩み続けるある種正統派ジャズギタリストであった。ところが1975年1月に行なわれたカーネギーホールでのライブで披露された「Summer Time」は多くの人を驚かせた。あの正統派ジャズギタリストのGeorge Bensonがギターを弾きながら情感たっぷりに唄いまくっている。しかも上手すぎる。この音源はのちにリリースをされているが、これを聴くと、神って二物を与えるものだとあらためて思う。 「Breezin'(1976)」のころから CTIレーベルのプロデューサーであったTommy LiPumaによるGeorge Bensonの「ボーカリスト」への改造がはじまる。驚嘆すべきは「Breezin'」の2曲目に収録されている「This Masquerade」である。Leon Russellによる名曲だが、「ボーカリスト」George Bensonの正式デビューといえるこの曲はソウルフルにしっとりと唄い、なおかつギターを弾きまくっているものだから曲のランニングタイムが8分1秒という長さだ。これははっきりいってSoulアーティストへの営業妨害以外の何物でもない内容の良さと上手さである。 Soul Music全体が最も熱い年だったともいえる1976年においても、George Bensonはグラミー賞において「Breezin'」で「Record Of The Year部門」、「Best Pop Instrumental Performance部門」、「Best R&B Vocal Performance部門」(この部門はSoul ボーカリスト用の部門なんです。)の3部門を総なめにするという怪物ぶりを発揮し、まさにやりたい放題だった。 80年代以降はCTIレーベルを離れ、Quincy JonesらとPop路線を突き進み、ブラックコンテポラリー(死語?・・ブラ・コンはもっと死語?)の雄といえるアーティストに変貌していった。残念ながらここから先は私の専門外になっていく。 数年前、街を歩いているとどこからか、あの「The Long And Winding Road」が耳に飛び込んできた。Beatlesではない「The Long And Winding Road」は明らかにGeorge Bensonによるものだった。「The Long And Winding Road」という曲がこんなに美しい曲だったのかと再認識させられるほどに、独特の情感とギターと歌心をもって唄いきっている。George Bensonがまた自分のところにもどってきてくれたような気がした。 わたしがもしLuther Vandross やPeabo Brysonのような中途半端なSoulシンガーだったら、このひとと同じフィールドでは仕事をしたくないと思う。Soul Musicの世界においてGeorge Bensonのような存在自体がはっきりいって反則なのである。 次回は「Leon Wareのプロデュース作品たち」について紹介いたします。
by show-zono
| 2004-04-13 22:41
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Comments(12)
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400tourer at 2004-04-14 00:52
いつも楽しく拝見しています。
ベンソンは実は元々、弾き語り歌手だったんですよ。 手元のプロフィールでは、1954年(11歳!!)の時に、 Groove Recordsというマイナーなレコード会社からギターの 弾き語りでシングルでデビューしています。 その後、しばらくギターをメインにした時代を経て、CTI以降 再び歌いだすんですよね。 個人的には、IN FLIGHTでのTHE WORLD IS A GHETTOと EVERYTHING MUST CHANGEでの歌&ギターが最高に好きです。 僕もダニーやマービンやアル・ジョンソンなどの人たちが大好き なのですが、同時にフュージョンも大好きですし、彼らはバックの ミュージシャン達として、まったく分け隔てなくどのジャンルでも 参加しています。 彼らに聞くと、ジャズとかフュージョンとかソウルとか、あんまり 分けて考えていないようです。懐が深いんでしょうね、きっと。 今後も、マニアなブログで楽しませてくださいね。
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show-zono at 2004-04-14 13:25
400tourerさん、コメントありがとうございます。
CTI以降のBensonしか知りませんでした。 彼がもともと、弾き語り歌手だったとは。。。 たしかにおっしゃる通りで私たちが思うほど、彼らはSoulとか FusionとかJazzというジャンルというものを意識していないよう ですね。 Ray Parker Jr.などはもともとギターのスタジオミュージシャン でしたがソロ活動をする彼を我々はFusionとは思いませんでしたし、Patti AustinなどはCTIからでてるというだけでクロスオーバーの人のように見えますし、ジャンルに分けて考えること自体が ナンセンスのようにも思えてきます。
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400tourer at 2004-04-14 22:59
show-zonoさん、おっしゃるとおりです。
もともと、ジャンルって言うものは商業的な流通の事情で、 分類したり、差別化が必要だから存在しているのだと思います。 アメリカという移民国家がアフリカ系黒人や様々な人種や 民俗音楽を呑み込みながら、発生したり分岐したりして 今のポピュラーミュージックができてきたのですから、 起源から考えても、後から分類されたことがわかります。 とはいっても、ジャンルの名前をつける事が、そのジャンルの 特質や独自の世界観を形作るのに重要な効果があるとも思います。 実際にはプロデューサーによるところが大きいので、演奏している 本人がジャンルの世界観を深く意識していることは少ないのでは ないかと思っています。 だから、ジャンルそのものは案外、アーティスト本人が作る というより、プロデューサが作るのかも知れませんね。
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show-zono at 2004-04-14 23:34
400tourerさんのおっしゃる通りだと思います。
Bensonの世界観が70年代にSoul Musicに限りなく近づいたのも、Benson自身の意思というよりも、Tommy LiPumaの商業的な戦略にのっとった結果だったのだと思います。Quincy Jonesと組んだことで80年代以降は加速し、AORとかブラコン路線を突き進んだわけですが、Benson自身のなにかが変容していったかといえば、そうではないのだと思います。Bensonの場合はセルフコンテインドではない分、まさにプロデューサーの標榜する世界に左右されたのだと思います。 よくRockを好きな人が「Hard RockとHeavy Metalは違う」というようなことをいったりしますが、そういう話を聴くと、やはりジャンル分けというのは、ことさらナンセンスに感じます。
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sugar_pepper at 2004-04-16 16:48
「Summer Time」のライブは聴き応えがありますよね~。
上手い、しかも濃いんです。 「自分のギタープレイの旋律にあわせたユニゾンのスキャットを奏でる」 をこれでも演ってますが、あの歓声と拍手。 さぞかし気持ち良かろうと思います。 しかし…やはり80年代くらいからでしょうか。 いきなり目がキラキラしてき(たような気がする)てからは聴かなくなってしまいました。 新しいアルバムの...どの曲だったかなぁ。「おお、カッコイイ!」と思ったのは。 最近また良くなってきて、「この人の本流は変わっていなかったんだなぁ」と嬉しく感じています。 「The Long And Winding Road」は良かったですか?なぜか聴いてないんです、まだ。 近年、Soul MusicにおいてもClassic SoulだのOrganic Soulだの...(なんじゃ、そりゃ) 真剣に音楽を創る者、真剣に音楽を受け取る者にはまったく無意味なモンです。 ジャンルって。
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show-zono at 2004-04-17 01:04
たしかFree Soulなんていうのもありましね。意味が良くわかりませんが。
目がキラキラしたように見えたのは整形手術のせいでしょう。 どのアーティストにも言えることですが、80年代という虚構で塗り固められた時代を通り過ぎて、EW&Fの回でも触れましたが、塗りたくられて絵の具を落として90年代後半から、真髄を再生させたアーティストは少なくありません。Bensonもその一人ではないでしょうか。Absolute Benson(2000年)、Irreplaceable(2003年)はとてもよいアルバムとなっています。その前段としての「The Long And Winding Road(1995)」はとにかく素晴らしいと思います。私の記憶ではBeatlesのオリジナルを超えたアーティストはBensonだけでしょう。もし機会が会ったら是非触れてみてください。 また次回の「Leon Wareのプロデュース作品たち」で熱く語りましょう。
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lisalisa9 at 2004-04-20 09:45
George Benson好きなんですが、80年代以降のを聞くのでみなさんのお話にはついていけませんね。show-zonoさんの紹介文は、『聞いてみたい』という気持ちになります。
こんど、彼の音楽も70年代まで遡って聞いてみたいです。
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show-zono at 2004-04-20 09:52
時代背景もあるのでしょうが、Soul Musicに関しては70年代のもののほうがその真髄に触れることができます。携帯メールではなく手紙のもつ味わいのようなものを含んでいるからだと思います。lisalisa9さんももし良かったらBenson以外のアーティストに関しても遡って味わってみてください。
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lisalisa9 at 2004-04-29 10:45
早速、ベスト盤を手に入れました。
「This Masquerade」は show-zonoさんが書かれたとおりのソウルフルなしっとりとした曲ですね。 ベスト盤を聴いて sugar_pepperさんが、目がきらきら、というのもよく分かりました。 今なら、「This Masquerade」の方を選びます。
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show-zono at 2004-04-29 19:56
「80年代以降のを聞くのでみなさんのお話にはついていけませんね。」。。話なんてついてこられなくったて結構です。理屈ではなく聴いて、触れていただくのが一番だと思います。lisalisa9さんに「This Masquerade」のもつ美しさに触れていただいて嬉しく思います。
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cassavetes69 at 2005-01-08 12:29
「This Masquerade」もまたさまざまなカバーがありますが、なかでもこのジョージ・ベンソン盤はイントロのスキャットから憂いを帯びていて僕好みです。憂いこそ、この曲の真髄ですよね。彼の作品は'70年代半ばの一時代にフォーカスした聴き方しかしていません。「The Long And Winding Road」はタイトル曲のみしか聴いていませんので、今度アルバムを通して聴いてみたいと思います。話は変わりますが、ソウルミュージックのファンを公言する若いリスナーには、オリジナル曲への敬意を欠いた振る舞いが見受けられます。是非、オリジナルにも触れて欲しいです。「This Masquerade」のレオン・ラッセルがいなければ、この曲も、ダニー・ハサウェイの「Song for you」も聴くことはできなかったのだから・・・。
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show-zono at 2005-01-09 22:16
確かに憂いをまとっていますね、Bensonの「This Masquerade」は。
70年代のGeorge BensonはSoul MusicやFusion、Crossoverを語る上でどうしても避けられないアーティストです。80年代以降「ブラック・コンテポラリー路線」を突き進むようになってからは私のフェバリットではなくなっていたのですが、近年のBensonは「彼らしさ」を取り戻したようです。
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