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Vibraphone(ビブラフォン)という楽器をご存知だろうか。
鉄琴の一種で、フットペダルでビブラートを調節しながらプレイする楽器である。我々はこの楽器を尊敬を込めて「Vibe」(ヴァイブ)と呼ぶ。 Vibeの音色はとにかく甘みが強く、とりとめもなくロマンティックである。 Roy Ayers(ロイ・エアーズ)は、ジャズの世界では恐ろしく有名なビブラフォニストである。ただ、普通のジャズ・ビブラフォニストであれば、わざわざこの「Soul Musicを聴こう」ではご紹介しない。 彼が1970年代以降に織り成した曲の数々は、ジャズではなく紛れもなく「Soul Music」であったのである。 Roy Ayersの作品たちは、私自身が「Soul Music」に求める「美しさ」、「暗さ」、「屈折感」、「グルーヴ」という要素をやっかいなことに全て含んでいた。 彼の作品たちはとにかく艶っぽい。 しかも、彼は歌を唄う。 恐ろしく味わいのある、癖のあるハスキーなヴォーカルは、自身のVibeの音色とあいまって、聴くものを強引な力強さでRoy Ayersの独特の世界へといざなうのである。 「Searching (1976)」では、RoyのヴォーカルとVibeが美しいメロディーのなかで融合し、あり得ないほどのロマンティシズムを醸し出している。こういう両極端なものを内包する音楽は、その自身の「美しさ」を最大限に際立たせるから本当に不思議である。 「Everybody Loves The Sunshine (1976)」に触れると、70年代Soul Musicらしい「暗さ」と「屈折感」が聴く者の精神に濁流のように流れ込んでくる。Roy Ayersというアーティストが「尋常」な存在ではないということを、この曲は饒舌に語りつくしてしまうのである。 彼が昨年リリースした「Mahogany Vibe (2004)」では、御年65歳を迎えたとは思えないほどの艶っぽさを醸し出していた。 Erykah Baduとのコラボレイトでの「Searching (2005)」と「Everybody Loves The Sunshine (2005)」に触れて正直驚いた。 ヴォーカルが一層、味わい深いものになっている。 人間も熟成がすすむ物なのだとつくづく感じた。 普通のSoul Musicでは物足りないとおっしゃる御仁は、Roy Ayersというアーティストを丸ごと喰らってみると良い。 食あたり覚悟で。 次回は、Janet Jacksonの「Truth (2001)」についてご紹介いたします。
by show-zono
| 2005-06-04 00:05
| Cross Over
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Comments(12)
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sarah103 at 2005-06-04 13:15
Everybody loves the sunshineに痺れた一人です。多分食あたりはしないかと。(笑)Roy Ayersは彼自身がまさに楽器そのもの、の、仰る通り「規格外」のアーティストだと思います。
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show-zono at 2005-06-05 11:11
sarahさん、私はあなたをあなどっていましたよ。(苦笑)
実はRoy Ayersのことを知っている人は、Soul Musicフリークと呼ばれる方々のなかでも案外少ないんですよ。ですので、今回は多くの方々に「こんなアーティストがいますよ」というご紹介の意味も込めて、Roy Ayersを取り上げました。 「食あたり覚悟で。」というのは、Soul Musicの本当の良さを嗅ぎ取れる人じゃないと、ちょっと難しいですよという意味です。「食あたり」しないとおっしゃるsarahさん、あなたはかなり上級者です。お見それいたしました。(笑)
JAZZ好きの私としては「Soul Musicを聴こう」のCross Overカテゴリーは毎度楽しみにしています。
ロイ・エアーズがJAZZかSOULかという議論は過去から聞き飽きていますが、やはり不毛ですね。魂に訴えるという部分ではshow-zonoさんにとっては紛れもないSOULであるということも決して間違ってはいないでしょう。 ところでSOULのBlogは数あれど、ロイ・エアーズを取り上げるところなんぞ、流石ですね。
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Hshuji
at 2005-06-05 19:24
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Hshujiと申します。Roy Ayersの存在は近年再評価されているよう
ですね。HIPHOPの世界でも元ネタとしてよく使われるようになりまし た。 メアリー・ジェイ・ブライジがカバーしたり、ジャミロクワイがライブで 演奏したりとミュージシャンの間でも評価が高いようです。
show-zonoさん
そんなにお褒め下さって・・。と喜びも束の間、文末に(笑)がしっかりついていますね! Roy Ayersは好きで聴きますが、Janet Jacksonをきちんと聴いてこなかった私は来週コメントしようにも出来ません。これまで通り白帯のまま末席に据え置いて下さい。(笑)
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sugar_pepper
at 2005-06-06 17:32
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Vibeの神、降臨ですね。
Erikah Baduとのコラボは僕も好きです。 リバーブをかけていない分、Roy Ayersの癖のある声が一層生々しく魅力的に響きます。 ですが、楽曲の仕上がりは僕にはカッコよくキレイになり過ぎてました。 1976年の方がどうしても好きですね。 あの、音そのものに絡みつく絶対的な暗さや屈折感、美しさは...何なのでしょう。 あの時代の音には、影のようなものが脈々と息づいていて、どうにも惹かれてしまうのです。 ふー。 Vibeの音をうまく言い表し得る表現力がないのでため息をついてみました... でも、「Miles(Love’s Silent Dawn)」などのInst曲を聴くと、その音色の美しさは充分にわかります。 曲自体も美しいですしね。 楽器は深い...。 Roy Ayersは他にも好きな曲が結構あります。 「JAZZかSOULかという議論」も確かに以前からあるようですが、僕自身は考えたこともありませんでした。 それよりも、このようにJAZZというカテゴリの中に在りながら、自分にとっての引力を持つArtistを他に見過ごしてはいないか...という焦燥感ならあります。 必ず出会えるはず...という根拠のない自信もありますが。(笑)
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show-zono at 2005-06-06 23:34
Swingerさん、コメントありがとうございます。
SwingerさんのようなJazzリスナーの方からコメントをいただけることは嬉しい限りです。George Bensonなどもそうですが、Jazz or Soulという議論は確かに不毛ですね。たいした意味もありません。どっちでもいいです。私にとっては。 彼の紡ぎ出す音楽が素晴らしいということだけお伝えできれば充分です。
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show-zono at 2005-06-06 23:54
Hshujiさん、コメントありがとうございます。
今回、「Mahogany Vibe (2004)」で共演したErikah BaduなどもRoy Ayersの音楽に心酔していたようです。Jamiroquiによるカバーも案外はまるかもしれませんね、聴いたことはありませんが。 HIPHOPの世界でサンプリングされるのは、やはり「Everybody Loves The Sunshine」ですか。なるほど想像できますね。
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show-zono at 2005-06-06 23:58
sarahさん、再度のコメントありがとうございます。
>Everybody loves the sunshineに痺れた一人です。 とおっしゃるかたに白帯は失礼でしょう。 今後もProf. show-zonoの「Soul Music偏愛論」を履修していただけると嬉しいです。(笑)
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show-zono at 2005-06-07 00:17
sugar_pepperさん、コメントありがとうございます。
>楽曲の仕上がりは僕にはカッコよくキレイになり過ぎてました。 確かに。現代の作品については、Roy Ayersに限らず、私の「擁護」を含めて書いていることは、あなたはお気づきなのでしょうね。 「暗さ」、「屈折感」、「美しさ」。70年代Soul Musicのもつ根源的な疑問について、近いうちにこの「Soul Musicを聴こう」で立ち向かおうと思っています。 鉄の振動を音叉のように伝えるという同じシステムでは、Fender Rhodes PianoやMaurice Whiteが好んで使うKalimbaなどと同じですね。音色で言うとFender Rhodesよりは硬く、Kalimbaよりは柔らかいといったところでしょうか。でもこういう説明は無粋で面白くないので文中では止めました。 最近は技術論を語るのがあほらしくなってしまいまして。(笑) >JAZZというカテゴリの中に在りながら、自分にとっての引力を持つArtistを他に見過ごしてはいないか...という焦燥感 私が新宿HMVのなかの「Jazz」と書かれた、一際隔離されたコーナーに足繁く踏み入れるようになったのは、sugar_pepperさんと同じ気持ちからです。
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cassavetes69 at 2005-06-10 07:17
先般頂いたコメントの返礼に慣れないTBを致しました。締めも一部引用させてもらいました。
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show-zono at 2005-06-13 22:44
いずれ『The Third Eye』を肴にHarperを一緒に煽りましょう。
実にあなた様らしい美しい文体に感謝です。
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