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Soul Musicに限らず、美しい曲が生まれる瞬間にはいくつかの奇跡が起こっているのだと思う。
作曲者のインスピレーション、美しいリリックとの出会い、アレンジにおける魔術、プレイヤーのコンセントレーション、ボーカリストの情感。これらが蜜月のうちに奇跡の出会いを果たして人の耳に侵入し、最終的に心の大事な場所に閉じ込められるのだと思う。 Soul Musicフリークに「R&B世界遺産」と呼ばれている曲を紹介したい。 「Just The Two Of Us」というLove Songである。 1980年にリリースされたGrover Washington Jr.(Jazz Saxphonist)のアルバム「Winelight」のなかでBill Withersをボーカルに迎えてレコーディングされて、この曲はこの世に舞い降りた。 作曲者はRalph MacDonaldというJazz、Fusionの世界ではあまりにも有名なPercussionist(パーカッショニスト)である。驚きは彼がPercussionistであるということである。普通は打楽器のプレイヤーがソングライティングにたずさわることはほとんどないからである。しかも、こんなにメロディアスな曲をである。すでにこれだけでひとつの奇跡である。 I see the crystal raindrops fall and see the beauty of it all Is when the sun comes shining through To make those rainbows in my mind, When I think of you some time, And I want to spend some time with you 「Just The Two Of Us」のリリックのくだりである。「make love」や「love you」といった直線的な表現をもたないこのリリックはメロディアスな旋律にのり、この曲のもつ洗練された美しさを増幅させている。 Eric Gale (guitar)、Richard Tee(Fender Rhodes Piano)、Marcus Miller(bass)、Steve Gadd(Drums)、Ralph MacDonald(Percussion)、Grover Washinton Jr.(Sax)という演奏メンバーであるが、「誰?」という方々にご説明申し上げると、ひとりひとりがJazz 、Fusionの世界では恐ろしく有名なメンバーなのである。前奏のくだりを聴くだけでこのメンバーたちの恐るべき技術と感性を体現できる。Fender Rhodes Pianoの魔術師と呼ばれているRichard Teeによるアルペジオはたった4小節で聴くものを「Just The Two Of Us」の世界に引きずり込む。「Fender Rhodes Pianoはこう使うべし」という魔術師Richard Teeの教えが伝わってくるような演奏である。9小節目からフィルインするMarcus MillerのBassによるハイフレッドでのスライド奏法がこの曲の前奏部分の美しさを限界まで高めている。後半でみせるチョッパーベースとの「出し入れ」はさすがとしかいいようがない。Panacea Steel Drum Bandによる後半のSteel Drumはリリックのなかの「crystal raindrops」を連想させるとてつもなく美しい響きを奏でだしている。はっきりいってこのコラボレーションは奇跡である。 Bill Withersについても、正直あまり「上手い」ボーカリストという印象がなかったが「Just The Two Of Us」では驚くべきほどの「味わい」を発揮している。彼の楽曲に対する理解力の高さなのか「Use Me(1972)」などは全く違った、耽々と静かな切なさをを表現している。 数多くのアーティストたちがこぞってこの曲をカバーしたがるが、結果的に原曲の足元に及ばないのは、「Just The Two Of Usという曲」だけが良いと勘違いをしているからである。冒頭でもふれたとおり、あらゆる奇跡が織り重なって「Just The Two Of Us」というLove Songが「R&B世界遺産」とまで呼ばれていることに気づいていない。 この曲をご存知の方も多いとは思うが、もう一度、心してこの奇跡を体現して欲しい。 「Just The Two Of Us」というLove Songが皆さんの心の大事な場所に閉じ込められることを祈ります。 次回は『Marvin Gayeの問題作「Here My Dear」』についてご紹介します。
by show-zono
| 2004-05-04 17:26
| Love Song
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Comments(22)
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blue_koichiro at 2004-05-05 00:59
リンクしていただきありがとうございます。
Just The Two Of Usが「R&B世界遺産」と言われているのは知りませんでしたが、スタンダードとして残ってゆく名曲であると言うのは間違いがないと思います。本当にいい曲だと思いますし、show-zonoさんのおっしゃる通りイントロのティーのローズだけでもやられてしまいます。 ラルフ・マクドナルドは本当に才能のある人なんですよね。 ロバータ・フラッグとも一緒に仕事しているし、渡辺貞夫さんのアルバムでも素晴らしい作品を残してます。 スティーブ・ガッドにマーカス・ミラーというコンビネーションもこの頃は本当に良く活躍してましたね!!
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はじめまして。 WHAT'S NEW PUSSYCAT? というサイトを運営しているP5と申します。Gingerさんのリンクからたどり着きました。ちなみに'70年代ソウル好きです。
いやぁ,深い上に読みやすい文章で感銘を受けました。 とりあげていらっしゃるのも,レオン・ウェアにマーヴィン,スティーヴィーなど,大好きなミュージシャンばかりです。 次回の『離婚伝説』も楽しみにしております。 まずは,ごあいさつまで。
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show-zono at 2004-05-05 19:35
blue_koichiroさん、コメントありがとうございます。
Richerd Teeの「Bottom Line」は愛聴盤になられたことでしょう。Richerd Teeについてはもっと早く言及すべきだったのですがblue_koichiroさんや400tourerさんに早々に先を越されてしまい、しまったという感じでした。Ralph MacDonaldやMarcus Miller 、Steve Gaddについてもいつか語らねばと思いやっと念願かなった感があります。このあたりのBlack Fusionプレイヤーを避けてSoul Musicを語ることはできませんね。
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show-zono at 2004-05-05 21:38
P5さん、コメントありがとうございます。
Gingerさんのところから飛んでこられたのですね。 中学校の教諭のかたから「読みやすい文章で感銘を受けました。」と称えられ、真面目に喜んでおります。中学のときは作文が大の苦手でしたから。ところでかなりマニアックなサイトを運営されていますね。拝見いたしましたが、私の知らないものばかりで勉強になります。共通点も多く、密かにキリンジが好きなところ、Burt Bacharachが好きなところ、「好きな音Top5」などは私とほとんど同じです。 「Here My Dear」を「離婚伝説」と呼ぶところなんざあ、かなりお出来になる方ですね?ちなみに「Just The Two Of Us」は「クリスタルの恋人たち」といったところでしょうか。
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400tourer at 2004-05-05 23:25
show-zono さん、リンクありがとうございます。
さすが、いい曲を取り上げてくれました! 確かに、この曲のカバーは数限りなくありますが、原曲のイメージ のままカバーしても、超えられるはずがないですよね。 あ、余談ですが、以前に僕のブログで紹介したトゥーツ・シールマンス とステファン・グラッペリのアルバムでもこの曲をカバーしてますよ! このくらい別の完成品になるなら、それも面白いといった好例かも。 確か、この時代のラルフ・マクドナルド参加作品の多くは、 彼のスタジオ「ローズバット・スタジオ」という場所でレコーディング されているものが多かったはずです。 貞夫さんの同一メンバーによる2作品などもそのスタジオで録音 されていたと思いますよ。 自前のスタジオを持っているだけでも、単なるパーカッショニスト ではないところがうかがえますね。
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show-zono at 2004-05-06 00:00
Ralph MacDonald自身も「Just The Two Of Us(1996)」でセルフカバーをしていたんですが率直な感想としては、原曲のほうが断然いいなあと感じました。本文でも触れましたが原曲はとくにFender RhodesとBassの使い方が素晴らしいんですよね。もう1回やってくれといわれてもできないのが、プレイヤーのコンセントレーションなんでしょうね。まさに奇跡です。
Toots Thielemansについてもいずれ触れたいと考えています。Soul Musicにも深く関わっていたプレイヤーですので。
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oremama1618 at 2004-05-06 14:00
「Just The Two Of Us」といえば、Walter Wanderleyが、81年に「Perpetual Motion Love」というアルバムで、オルガン+Rhodesによるゴキゲンなインストアレンジで仕上げているバージョンがあります。なかなか出物ですよ。CD再発は多分されていませんが...
Bill Withersのボーカルは、ホント味アリですよね。70年代初期のライブ盤を最初に聴いたときは、思ったより声が安定してなかったので、結構拍子抜けしたものです(笑)それでもあのソングライティング力には、ただただ脱帽です。
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show-zono at 2004-05-06 22:35
Walter Wanderleyがカバーしているのは知りませんでした。聴いてみたいですけど、CD化されていないんですよね。無念です。
Orgar+Rhodesって結構そそりますよね。 Bill Withersをボーカルに選んだのは、Ralph MacDonaldの絶妙なバランス感覚だったのかもしれませんね。やはり奇跡です。
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sugar_pepper at 2004-05-07 19:13
「R&B世界遺産」って...。誰が言い出したんだろう。ウマイなぁ。
その人が音楽を聴く耳を持っている人かどうか...を知る基準となるのが、 この「Just The Two Of Us」という曲なのです。僕にとって。 エラソーな事を言ってすみません。でも本当なんです。 これまで生きてきて、Soulは勿論、ジャンルを問わず素晴らしいと思える曲を 僕に教えてくれた人達は、みんなこの曲が好きなんです。 それってスゴイ事だと思いませんか? この曲について書くには、触れたい部分が多すぎてお困りになったのでは...?show-zonoさん。 僕もそうなので、もうあえて触れません。(すべてshow-zonoさんが書いて下さってます) 1つの大きな奇跡は、幾つもの奇跡のSynchronicityによってもたらされるものなのでしょう。 奇跡に出逢えた事に感謝。 良い曲で記事を書かれたものです。 街の空気と色がどことなくtone downする秋口にこの曲を聴きたくなります。 ちなみに、僕の中の「田舎の風景が似合わない曲BEST10」にもチャートインしてます。 どうでもいいことですが。 次回『Marvin Gayeのすばらしい問題作「Here My Dear」』、楽しみしております。
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show-zono at 2004-05-07 23:53
確かに「Just The Two Of Us」については書きたいことが多すぎてとても困りました。ただ文章についてアドバイスしてくださる方がいて、「書きたいことを全部書こうとすると失敗しますよ。」といわれており、なるべくコンパクトにまとめたつもりでしたが、うまく伝わりましたでしょうか。
Sugar_pepperさんが「Just The Two Of Us」を他人の耳を計るモノサシにされているように、私は自分の文章の出来を計るようにしていつもSugar_pepperさんのコメントを拝見しております。 次回は問題作「Here My Dear」について語らせていただきます。ご存知の通り、とかく評論家には酷評される作品ですがその「酷評」に戦いを挑みます。是非お楽しみに。
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Pacharach
at 2004-05-10 12:23
x
昔、某楽器店に行った時にSteel Drum が置いてあるのを見て、
おお、これがあの「Just The Two Of Us」のSteel Drum か!と思った記憶があります。 こういう曲にこういう音を使うって、センスいいですよね~。
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show-zono at 2004-05-10 13:49
Pacharachさん、コメントありがとうございます。
素敵なお名前です。 御茶ノ水の楽器店街にパーカッション系専門の店がありまして、 私もSteel Drum に触れたことがあります。 ただのドラム缶を切っただけなんですよね。ところが叩く場所で 音階が変わるという驚異の旋律打楽器だったんです。 昔、貨物船が沈没してアフリカ大陸に流れ着いたドラム缶を 原住民が叩いて楽器にしたという話ですが、この楽器はスゴイです。
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maida01 at 2004-06-20 10:30
始めまして。素晴らしい説明ですね。Grover Washington Jrにはソウルを感じています。彼のCDは余り好ではないのですが、本来はディープなソウルだろうなと感じています。生演奏を聞いてみた人です。有名なので生は高いだろうな。
Eric Galeなんかは真っ黒な演奏ですよね。
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show-zono at 2004-06-20 19:19
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cassavetes69 at 2005-01-08 12:58
リアルタイムでは触れることはできませんでしたが「Just The Two Of Us」は'80年代後半の僕にとっては、それはそれはありがたい存在でした。17歳の頃、この曲の存在を知り、「Winelight」をダビングしました。当時はソウル・ミュージックを意識することはなく、ブルー・アイド・ソウルやSADEなどと並べてこの曲をかけては、お洒落感を演出していました。今の時代には、ある意味で不遇ともいえる音使いでありながら、もちろん今でも深く浸ることができるというのは、この曲づくりの際に、超えてはいけない一線を守る厳しさがあったからのような気がします。
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