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Minnie Riperton(ミニー・リパートン)の「Inside My Love (1975)」はその曲の美しさから、これまで数多くのアーティストにカバーされた。
しかし、当然のことながら全ての「Inside My Love」のカバーは、オリジナルを超えることはない。 Minnie Ripertonが他のアーティストを完全に凌駕しているからなのか。 「Inside My Love」のレコーディングに臨んだMinnieはすでにガンに冒されていたということもあり、 命をすり減らしながら歌うMinnieに普通のアーティストが太刀打ちできるはずが無いのである。 それと、「Inside My Love」のカバーがオリジナルを超えられないもうひとつの理由。 それは、オリジナルのオーケストレーションにあると思う。 「Inside My Love」が収録されている「Adventures In Paradise(1975)」のプロデュースを、当時Crusaders(クルセイダーズ)などを手がけていたStewart Levin(ステュワート・レヴィン)が担当したことから、このアルバムの録音にはCrusadersのメンバーであったJoe Sample(ジョー・サンプル)とLarry Carlton(ラリー・カールトン)が招聘されていた。 Crusadersは、1970年代フュージョン・シーンを代表するグループであったが、彼らのレコーディング方法は、現代から考えれば特異なものであった。 「Inside My Love」の基本的なアレンジはLarry Carltonによって行われたが、元来「即興性」を重視する彼らの譜面は、基礎的なコード譜とユニゾン部分の確認以外は、大半が「Free(自由に)」とか「play as you like(好きにして)」が書かれてあるものであったという。 とあるブラック・フュージョンのアーティストが、 「偶然に生まれた音が一番クールなんだ」 といったそうだが、 「Inside My Love」のオーケストレーションは、 偶然に音が生まれることを、充分想定してレコーディングが行われていたということになる。 まあ、意味の無い「偶然」などこの世にはないのだけれど。 私が「Inside My Love」に触れるたびに心がねじれてしまうのは、 最後のリフレインにむかう寸前のJoe Sampleによるフェンダー・ローズ・ピアノのソロのパート・・ 自らの命の限界を悟ったMinnieの魂から放たれる声の伸びと・・ Joe Sampleの指から放たれる「偶然」・・ この8小節に触れて何も感じない人は・・、 Soul Musicに立ち向かう感性に欠如していると、 敢えていわせてもらいたい。 1を2にする作業は、もしかしたら他愛のないことなのかもしれないが 命を削り、偶然が巻き起こす「何か」に託しながら0を1にした人間たちに、そう易々とかなうわけがないのである。 Minnie Ripertonはこのレコーディングののち、乳房の摘出手術を行い、 わずか3年後に31歳の若さで還らぬ人となった。 Soul Musicの美しさの原因は、 数々のありえない「偶然」にあるのだと思う。 次回は、Michael Jacksonの「The Lady In My Life (1982)」についてご紹介いたします。
by show-zono
| 2007-02-17 22:00
| Soul Music
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Comments(5)
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(*^^) 香菜 (^^*)
at 2007-02-18 15:35
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昼下がり、おやつTimeに(聴く時間が間違ってる?(笑))
息子と二人して、ヘッドフォン奪い合いながら スピーカーとヘッドフォンとで交代で何回か聴きました σ(^^*)はどちらかというと、 ピアノよりもギターの方の音に 耳がいってしまうんだけど、 「美しい音色」は二人の共通の感想。 好きな曲は全体通して好きで 聴き惚れてしまうのですが 好きなフレーズはたった数秒でもたまらなく好きで 繰り返して(ストーカーのように?)聴く変なところがあります(笑) >Soul Musicに立ち向かう感性に欠如している でましたね(核爆) 否定的な言葉としてではなく そう言ってしまいたいくらい 「好き」「素晴らしい」という簡単な言葉で表したくないような 気持ちは何となくは分かります。
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show-zono at 2007-02-18 22:23
香菜さん、コメントありがとうございます。
「Inside My Love」はおやつTimeに似合わない曲トップ10に入るくらいの曲かもしれませんが。(笑) ギターの音に耳がもっていかれるのは当然ですね。泣く子も黙るLarry Carltonなのですから。あのラフな感じを、カバーのオケのギタリストは一生懸命まねていますね。努力だけは認めますが。 それにしても、確かお子さんは中学生では? 私自身がこの「Inside My Love」の良さを実感できたのは、実は30代に入ってからだったんです。20代の頃はこの良さが正直あまり理解できませんでした。 >でましたね(核爆) 私なりに、頑張って極力紳士的な表現をしております。 「Just The Two Of Us」のときにも書きましたが、数々の偶然によって生み出された音楽ほどカバーをすることは難しいのだと思います。
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la_spellbound at 2007-02-20 17:30
ここ最近の雰囲気はなかなか新鮮で、しばらく傍観させていただいてました(笑)
カッコいいですね。 「偶然に生まれた音が一番クールなんだ」という言葉です。 個人的には、オケの聴きごたえで言うと5本指に入ってしまう曲です。 あのフェンダー・ローズのソロ部分からは最も集中させられます。 僕はフィルインする直前のドラムの音がとにかく好きなんですよ。 あの音には、まるで生命の柔らかさが凝縮されているようです。 生きることそのものが苦難にあった血を持つ彼らの爆発力や創造力は凄まじいものがあります。 とりあえず無事に日々を暮らしている人間が形だけを安穏と真似てみたところで、超えられるはずもありません。 知ったようなことを言ってしまいましたが、事実、僕はそう思えてならないんです。
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show-zono at 2007-02-20 23:08
la_spellboundさん、コメントありがとうございます。
la_spellboundさんでしたらすでにお気づきかもしれませんが、 私は、個人的に思い入れの強い曲であればあるほど文章の温度が上がるというか。表現が時として、排他的ともいえるほどの激しさを含んでしまいます。 それを自身で抑えながら、鎮めながら書いています。 久しぶりにこの感じを味わいました。(笑) ほぼCrusadersというメンバーでレコーディングされているので演奏スキルが高いのは当然なのですが。 それだけではない「何か」を感じてしまうのです。 その時々にしか生まれない「音」。 現代のデジタル・オーケストレーションでは生まれない「音」。 命と引き換えにした「音」。 真似のできない「音」。 それが、「Inside My Love」という曲がもつ美しさの理由なのだと考えています。
いや〜 本当いいBlogに出会えました。
ありがとうございます。
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