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初めてこのアーティストを見たとき、私は「こいつ、ふざけてんのか?」と思った。
彼はミリタリールックに身を包み、軍用ヘルメットをかぶり、口からホースのようなものを飛び出させてアヒルのような顔をしていた。 私とRoger Troutmanとの出会いの第一印象は至極悪かった。 だが私は第一印象の悪い奴とは、必ずといっていいほど結果的によい友人になるので、Rogerを理解し愛するようになるにはさほど時間はかからなかった。人間も音楽も、表に出ている一面だけを見つめようとすると必ず失敗する。 RogerはZappというSoul Musicの世界ではあまりにも有名なファンクバンドを率いていた。当初はパーラメントやファンカデリックのようなP-Funkと呼ばれるグループの影響を強く受けていたが、Rogerの最大の特徴はその変形した「声」にあったといえる。 「歌」をただ歌うのではなく、ヴォコーダー(正しくはトーキングモジュレイター)という突拍子もない「楽器」を使う。口から飛び出していたホース(チューブが正しいらしい)を通じてその「声」は奇妙な「音」に変化をする。80年に「Zapp(1980)」でデビューをして以来、重たいシンセ・ベースと乾いたギターのカッティングとこのヴォコーダーによる変形した「声」のサウンドコラボレーションがZappのファンクのスタイルであったといえる。 1987年にRogerは本人名義で「Unlimited!(1987)」をリリースした。Rogerはここで確実にギアチェンジをしたといえる。「I Want To Be Your Man(1987)」では、ループを繰り返すファンクではなく、メロウなサウンドをその変形した「声」でロマンティックに歌いあげた。「I Want To Be Your Man」は彼にとってZappを含めてのキャリアのなかでの最大のヒットとなった。 私個人的には「Unlimited!」のなかで、唯一ヴォコーダーを全く使用しなかったSlow Jam「If You’re Serious(1987)」に一番惹かれた。こんなふざけた男に「If You’re Serious…I can give you ev’rything you want…」といわれるとものすごく切ない。私はこういう140Km後半くらいのフォークボールにめっぽう弱い。この曲は確実に私のこのふざけた男を見る目を変えた。 「Unlimited!」の好セールスで弾みをつけたRogerは1989年に「Zapp Vibe(1989)」をリリース後、1991年に再度「Bridging The Gap(1991)」でソロ・リリースを果たした。 「Bridging The Gap(1991)」に収録されていた「Emotions(1991)」という曲はヴォコーダーによる変形した「声」で切々と歌い上げた美しいSlow Jamである。「(Everybody) Get Up(1991)」などのループファンクの後にこれを聴かされると、申し訳ないが本当に打ち返すことすら出来ない。 以前、ピーター・バラカン氏がRogerのファンであることを前置きし、「Rogerがヴォコーダーを使う理由は、歌が上手くなくヴォーカルで他のアーティストにアドヴァンテージがとれないから」といっていた。私も正直そう思う。だが高校時代はほとんど全員が4番打者だったプロ野球の世界でも、引き続き4番に居座れる選手もいれば、2番に回り「犠打」に磨きをかける選手もいる。「犠打」の世界記録を達成し「野球殿堂入り」を果たす選手もいる。 Roger Troutmanは「Emotions(1991)」で私の「心のSoul Music殿堂入り」を果たした。 追記 Roger Troutmanは1999年4月25日に実兄であるLarry Troutmanの凶弾によりこの世を去りました。心より冥福をお祈りいたします。 次回は「New Jack Swingという空虚な世界」について紹介いたします。
by show-zono
| 2004-08-24 23:44
| Soul Music
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Comments(4)
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n_ayada at 2004-08-25 23:50
私も5月に「Unlimited!」を取り上げたのですが、それっきりでしたので、また聴きたくなりました。確かに「If You’re Serious」は印象的な曲です。
「Bridging The Gap」は知りません。こちらも聴いてみたいですね。 来日ライブでは、彼のエンターテイメント魂を見せ付けてくれました。 レコードではわかりにくかったのですが、ブラックミュージックの伝統をしっかり受け継ぐものでした。(これはプリンスも同じでした) 生で見たヴォコーダーは強烈だったなぁ。 今は亡きロジャーに合掌。
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show-zono at 2004-08-26 00:04
n_ayadaさん、コメントありがとうございます。
今回は触れませんでしたが、Rogerのエンタテインメント性の高さは凄まじいものがあります。彼の言葉ですが「レコードを10年以上売り続けるのは難しく、PrinceやMicheal Jacksonでさえなしえなかった。だがライブは違う。」彼はファミリーを喰わせるためにかなりのハードなライブスケジュールをこなしていました。かなり事情があってのことなのでしょうが、ライブを重視する彼は自然とエンタテインメントを重要視するようになったようです。 もう、出てこないでしょうね。こんなふざけたやつは。
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sugar_pepper at 2004-08-31 17:25
お久しぶりです。
ちょっとPC断ちしてました。(後がコワイんですよね、これって) Roger Troutman、ですね。 どうしてもヴォコーダーを通した声(音)が好きになれなくて。僕は。 ただ単に自分自身の好みの問題なんですけどね。 だから、嬉しかったんですよ。 「If You’re Serious」を聴いた時は。 おっしゃる通りヴォコーダーは使用していませんし、とにかく曲がイイ。 僕にとっては、Rogerといえばこの曲なんです。 「Emotions」も曲は好きなんですが、やっぱりヴォコーダーが好きになれない。 ハネた曲で使う場合はさほど気にならないのですが…なぜでしょうね。 確かにそれほど歌が上手い人だとは思いません。 でも、生声の方が伝わってくるものが大きいような気がします。 「If You’re Serious」を聴いて、いじらしさまで感じ取れてしまうように。 この人はビジネスという側面をかなり真剣に考えていたようですね。 彼のそのままの声をもう少し聴いてみたかった、というのが正直なところです。
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show-zono at 2004-08-31 22:47
Suger_pepperさん、やっと追いついてきましたね。でもこのお返事を書いたあとにすぐにまた記事を更新しますのでよろしくお願いします。
ヴォコーダーがあまりお好きではないようですね。 確かに、「生声」で勝負が出来たのならRoger自身がもっと大きな存在のアーティストになっていたかもしれませんね。 彼はそれをカバーするアイデアと曲の良さがあったと思います。 ピーター・バラカン氏がRogerを「とてもクレバーな男」と評していましたが、私もそう思います。彼の音楽には独特の「知性」が漂っているような気がします。 Donnyと同じく彼の「新作」は永遠に聴くことが出来ません。そう思うとやはりとても残念に思います。
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