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盲目の人は目が見えない分、五感、とくに聴覚が異常に発達するという。盲目の人は他人の足音だけで誰が訪ねて来たかがすぐわかるという話をよく聞く。そんな聴覚の発達した人が音楽にたずさわったらどうなるのだろうか。
Stevie Wonder。本名はSteveland Morris Judkins。日本でも最も名前が浸透しているSoul Singerである。ご存知のかたも多いと思うが、彼は生まれながらに盲目である。盲目であるがゆえに彼にとって人間の肌の色、一般の人の目に映る限界は関係がないようだ。かのLee RitenourはStevie Wonderの音楽を「最も高度で、しかもひとりの母親がきいても感動できる音楽。」と評している。Stevieは芸術性の高さとポピュラリティーを兼ね備えた、類まれなるSoul Singerなのである。 13歳という若さで「Fingertips(1963)」という曲でデビューを果たしたStevieはクロマティックハープ(半音演奏ができるハーモニカ)の名手として当時のMotownレーベルの作曲家たちによる曲を演奏するだけの存在だった。盲目の黒人の少年が体を揺らしながらクロマティックハープを演奏する姿が半ば見世物のようなかたちで披露されていた。 だが、当時のアメリカでの公民権運動の高まりと共に、その精神的支柱であったMartin Luther King牧師が1968年に暗殺された事件をきっかけにStevieの変身がはじまる。彼は、20歳になるとMotownと新しい契約を結ぶ際に、新しい条件を提示したといわれている。「セルフプロデュースの権利」、「創作上の自由」、「作品に関して一切のMotownによる干渉の禁止」がそれである。ここから初めてStevie Wonderの真のキャリアがスタートしたといえる。 その後、初のセルフプロデュースで「Music Of My Mind(1972)」を発表するが、なかでもFuzzy FeitonのギターとMoog(この楽器についてはいずれ解説いたします。)を多用した「Superwoman」では完全に変貌したStevieと会うことができる。その後の「Taking Book(1972)」、「Innervisions(1973)」、「Fulfillingness' First Finale(1974)」を通してStevieの変貌はますます加速し、これらは三部作と呼ばれるほどの傑作となった。Stevie Wonderに興味のある方はぜひこの三部作に触れてほしい。私はこの三部作を知らずしてStevie Wonderを語るやつとは話をしないことにしている。 三部作で完全に変貌を終了したStevieは「Songs In The Key Of Life (1976)」、「Journey Through The Secret Life Of Plants (1979)」、「Hotter Than July (1980)」と1970代をその有り余る存在感で駆け抜けた。Stevieの凄みはその絶対的な普遍性とスケールの広さだと思っている。21世紀になった今でもこれらの作品たちはいっこうに輝きを失っていない。 のちに80年代にはいり、「The Woman In Red(1984)」、「In Square Circle(1985)」、「Characters (1987)」を通してStevieは以前から取り組んでいたデジタライズされたサウンドの色を深めていった。盲目というハンディキャップもあり、音作りにテクノロジーをいち早く取り入れたのもStevieであった。評論家のなかにはStevieのデジタライズサウンドを批判するものもいるが、私に言わせれば「聴き」が足りないといえる。Stevieの持つ世界観はそんな手法の違いなど飛び越えてしまっていることに気づいて欲しい。「Characters (1987)」に関しては、かのPrinceにして、「誰も分からなくたって、このアルバムのとてつもなさといったら、本当に・・」といわしめたほどである。「Characters (1987)」の1曲目の「You Will Know」を聴けばPrinceが言っていることの意味がわかる。 Stevie Wonderのもつ絶対的な普遍性は、100年後も聴ける音楽であり、こういう音楽が遠い未来にクラシック音楽になっていくんだろうと思う。 追伸、 ところで、2003年の大晦日に放送された「K-1ダイナマイト」で曙とボブ・サップの試合の前の国家斉唱でStevieがクロマティックハープを演奏していたのをみた。 「Steveland・・もっと仕事選ぼうぜ・・。」 次回はIsley Brothersについて紹介します。
by show-zono
| 2004-02-12 22:28
| Soul Music
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Comments(4)
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sugar_pepper at 2004-02-13 21:21
「君にはわかっているはず。傷ついた心はいつか癒される。なぜなら私はそう創ったのだから。」
「You Will Know」の詞の1部である。 この曲を聴きながら初めて詞を読んだ時、涙が止まらなくなってしまった。 人間は何かもっと大きなものの1部であるということを感じずにはいられなくなる。 Stevieの曲にはうまく言葉に出来ないほどの包容力があるのだ。 人間が音楽を通じてこういった感覚を覚えたら、世界ももっと変わるような気すらするのだが... ところで、次回のIsley Brothers、楽しみにしています。 僕も大好きです。
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show-zono
at 2004-02-13 23:35
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ありがとうございます。はじめて同志といえる方からのコメントを拝見いたしました。自分と感性を共有できる方がいるという発見はとても心強く感じます。あなた様のようなかたにご覧いただけることを意識し、今後も身を引き締めて続けてまいりますので、応援お願い申し上げます。
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cassavetes69 at 2005-01-06 01:52
「Music Of My Mind」のジャケットは、僕のblogでも使いました。黄金の3部作+「Songs In The Key Of Life 」に加え、このアルバムと「where i'm coming from」は特に思い入れが強いのです。冒頭の「look around」では震えがきました。僕の結婚式では「いそしぎ」を使いました。彼は圧倒的な天才です。Stevie Wonderは、音楽を知れば知るほど、底知れぬ凄みを我々に感じさせてくれます。
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show-zono at 2005-01-08 11:10
Stevieの存在がなければ70年代Soul Musicの世界はもっと痩せたものであったといえるでしょう。
とりわけ、おっしゃるとおり三部作とその前後の彼は圧倒的なスケール感を感じさせてくれます。30年が経過してもまったく劣化しない音楽。多分、100年後も聴けるんでしょうね。Stevieの普遍的な音楽は。
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