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Soul Musicに縁のない方でも、Carpenters(カーペンターズ)の「Close To You」はご存知であろう。「Raindrops Keep Falling On My Head」(邦題:「雨にぬれても」)はもっとご存知のかたが多いと思う。
Burt Bacharach(バート・バカラックと読みますので念のため。)という白人作曲家によるものである。 なぜ、この「Soul Musicを聴こう」でBurt Bacharachを取り上げるかというと、Soul Musicの世界において彼は恐るべき、しかも歓迎すべき侵略者であるからだ。 彼の曲は、とてつもなくロマンティックで、そしてとりとめもなく優しい。 Bacharachという侵略者がSoul Musicの世界に落とした曲のなかで、私が大好きな曲たちのほんの一部についてご紹介したいと思う。 Fifth Dimension による「One Less Bell To Answer(1970)」である。独特の郷愁感をもつこの曲は際限なく優しく美しい。人間の聴覚は一瞬にして、タンスの奥にしまっていた記憶を呼び起こすことがあるというが、幼い頃にこの曲を聴いていたのではと錯覚をおこしてしまうほどに不思議な「懐かしさ」を感じさせてくれる曲である。 映画「007 Casino Royale(カジノロワイヤル)」の主題曲となった「The Look Of Love (1968)」である。Mr. Romanticと呼ばれたBacharachらしい実に美しい曲である。数多くのSoul、Jazzのアーティストがカバーをするほどにロマンティックすぎる曲である。つい最近も女性JazzピアニストであるDiana Krallがカバーをし、「The Look Of Love(2001)」というアルバムタイトルでグラミー賞を受賞している。個人的にはGrover Washinton Jr.が「Strawberry Moon(1987)」のなかJean Carneを招いて収録したバージョンをとても気に入っている。 これは私の隠しだまであるが、Ray Parker Jr.の「After Dark (1987)」に収録されている「Perfect Lover」である。有名なタイトルではないが、究極のロマンティシズムとRay Parker Jr.のボーカルとギターがマッチした、地味ではあるが美しい曲である。機会があったら是非触れていただきたいと思う佳曲である。 Bacharachの長いキャリアは、作詞家Hal Davidと組んでいた前期とCarol Bayer Sagerと組んだ後期に大きく分けられる。前述の「One Less Bell To Answer」や「The Look Of Love」は前期の作品で、「Perfect Lover」などは後期の作品である。 この「Soul Musicを聴こう」では是非「反則」の1枚をご紹介したい。昨年(2003年)の12月にリリースされた「Isley meets Bacharach(2003)」である。Isley BrothersのボーカリストであるRonald IsleyがBacharach&David時代の名曲たちを歌ったアルバムである。もちろん、リアレンジとコンダクティング(指揮)はBacharach本人によるものである。時間の経過とともにオリジナルよりも熟成された演奏とRonald Isleyのボーカルのマッチングの妙が心地良いアルバムである。機会があったら是非触れて欲しい。 BacharachはSoul Musicの世界だけではなく、60年代のMORジャンルやCarpentersのような白人音楽、映画のサウンドトラック、80年代以降にはAORなど幅広いジャンルで信じられないほどの膨大な作品を残している。以前、とある音楽雑誌のインタビューのなかで「何タイトルを録音したか」の問いに対して「思い出せないし、数え切れない」と答えている。 彼は王道でありながら常に直球ではない。一定のポピュラリティーを持ちながら、七色の変化球をもっている。しかも聴くたびに確実に心に添い寝をされるからやっかいである。 Burt Bacharachという侵略者にとってSoul Musicのフィールドはほんの一辺にしかすぎないのだ。くやしいけど。 次回は、Cameoについてご紹介します。
by show-zono
| 2004-05-25 21:35
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Comments(13)
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airplay
at 2004-05-25 22:35
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「After Dark」いいアルバムですよね~
Natalie Coleとのduet「Over you」も入ってるし、 紹介されている「Perfect Lover」もとってもロマンティックです。ひさびさに引っ張り出して聞いちゃいました。
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show-zono at 2004-05-25 23:06
airplayさんはやはりご存知でしたか。さすがAOR通ですね。
「Perfect Lover」はCarol Bayer Sagerとのユニットでの隠れた名曲です。「After Dark」自体がセールスをあげなかったので、あまり知られてはいませんが。Ray Parker Jr.も実は素晴しいアーティストなんですよね。「Ghostbusters」さえなければ。
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airplay
at 2004-05-25 23:40
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いや~通だなんてとんでもない
たまたまRay Parker Jr.が好きだったんでこのCD持ってました。 >「Ghostbusters」さえなければ。 これには爆笑でした。ほんとにそうですよね。 この曲はNo.1ヒットかもしれませんが 決して彼のキャリアを代表しているとは思えませんもんね。 Radio時代や、スタジオミュージシャンの頃に もっといい仕事いっぱいしてますから... そして、さっきshow-zonoさんのBurt Bacharachにトラックバックさせていただきました。
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400tourer at 2004-05-26 00:40
こんばんは、トラバさせていただきましたよ。
あんまり高尚な話題じゃない展開で恐縮ですが。。。 Ray Parker Jr.といえば、A Woman Need Loveかな。 New EditionのMr.Telephone Manとほとんど同じ曲だけど。(笑)
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Pacharach
at 2004-05-26 14:48
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ここでBurt Bacharachを取り上げていただけるなんて、嬉しいです。
とにかく好きなんです。(愛してると言ってもイイ) 大した予備知識もなく1枚のアルバムを聴いていて、あ、この曲いいなぁ。誰が書いたんだろーとクレジットを見てみるとBacharachだった...というのは良くあることで。 とにかく守備(いや、攻撃?)範囲が広すぎて語り尽くせません。 ポピュラリティとクオリティのバランスがこれほど見事にとれている音楽家は他にいないのではないでしょうか? プロとしては理想的と言えるかもしれません。 御年75歳(Happy Birthday♪)、こんな祖父がほしかった..
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show-zono at 2004-05-26 22:48
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show-zono at 2004-05-26 22:58
Pacharachさん、コメントありがとうございます。
ひつこいようですが、素敵なお名前です。 おっしゃるとおり、Bacharachはポピュラリティとクオリティが非常に高いところでバランスが取れているとても奇異な存在だと思います。David FosterやNarada Micheal Waldenなどと確実に違う「何か」をもっていますよね。単に曲が美しいとかそういうことではなく、心のひだをくすぐるようなものを持っています。ひとはそれは「Bacharach Magic」と呼ぶそうですが。
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sugar_pepper at 2004-05-28 17:51
Soul Musicよりもずっと先に僕の心に沈殿していたのがBurt Bacharachの音楽でした。
幼児期から現在に至るまで、あの切ないまでに優しい音楽はずっと僕の傍らにいるのです。 馴染みやすいメロディですが、実は音の創り方はかなり凝っている。 楽器の使い方、転調の仕方…。もうそれがBacharach印といえるくらいに。 好きな楽曲は多いのですが、Soulというカテゴリーでは Fifth Dimension の「One Less Bell To Answer」が1番好きです。 自分の感じどころが最も色濃くSoul Musicに投影された1曲のような気がします。 Dionne Warwickの「Walk On By」なども良いですね。 あの頃のSoulの音にBacharach の息がかかると、何とも云えない趣きを感じてしまいます。 耳を通して彼の音楽を受け取ると、身体のすべての細胞がにっこりしながら「これ、好き」と云うのです。 無条件に「好き」というのはこういうことなのだと感じますね。 もはやBurt Bacharachという音楽家を1つのジャンルで捉えることなどは不可能。怪物ですから。 僕らはジャンルを問わず、ただ愛すべき怪物の 魔法に囚われてしまうだけなのでしょう。
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show-zono at 2004-05-29 00:09
この「Soul Musicを聴こう」ではいつかSoul Musicと絡めて、
Bacharachについて語りたいと思っていました。 私にとってBacharachはそれだけの存在感があるのです。 sugar Pepperさんも「One Less Bell To Answer」が 一番お好きとのことでとても嬉しく思います。「郷愁感」とか そういう簡単な言葉ではなく、異なる文化をもつ私達に対して まで訴えるこの「懐かしさ」はいったい何なのでしょうか。 「Walk On By」も良いですよね。Bacharachアレンジの Franch Hornの使い方といったら。降参ものです。 理屈ではなく、おっしゃるように「細胞がにっこりしながら・・」 はとてもよくわかります。 最後に、いつもありがとうございます。Bacharach&Davidに ついて語れなかったら、どうしようかと思いました。
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lisalisa9 at 2004-05-31 08:20
バート・バカラックといえばやはり『明日に向かって撃て』ですね。映像と音楽がマッチして…もう何10年前に見たのにはっきりと覚えています。そのくらい印象に残る曲なんですね。
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show-zono at 2004-05-31 13:47
『明日に向かって撃て』はBacharachの映画音楽のなかでも名作中の名作といわれていますよね。本文の冒頭でも触れた「Raindrops Keep Falling On My Head」はそのなかの1曲です。彼は映画音楽も相当の数を手がけています。
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cassavetes69 at 2005-01-08 13:30
バカラックは、実に短い期間に、信じられないペースで、名曲として残るメロディーをポコポコ(失礼)生み出していますよね。昨年NHK?でディオンヌ・ワーウィックが歌っているのを見て、おお、この曲もバカラックか、と改めて感心しました。映画狂の身から言わせて頂いても、「Raindrops Keep Falling On My Head」は、あの西部劇を青春映画として昇華させた最大の功労者だと信じています。
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show-zono at 2005-01-09 22:33
Bacharachは私の中ではひとつの大きなブランドになっています。
独特の郷愁感と温かさ。ロマンティシズムと甘さ。他の商業作曲家の追随を一切許さないレベルの高さとポピュラリティを兼ね備えた奇異な存在であると思っています。
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